第42章

蒼海は遠ざかっていく救急車を見送り、それから紬へ視線を戻した。

腹の底にどれだけ言葉を溜め込んでも、結局「うわ、マジか」一言に敵わない。今の心境を表すなら、それだった。

自分が教えた符の描き方――紬は、まだ半分も描き終えていない。

それなのに、神崎拓海はもう平気そうにしている。

……そんなこと、ある?

紬はきょとんと瞬きをして、尋ねた。

「拓海おじさん、早希子おばさんのこと、もう放っておくの?」

運転席の神崎雅志が、淡々と言う。

「いい」

紬は眉を寄せた。

師匠に教わった「まる」を、まだ描き終えてないのに。

拓海おじさん、また不運に巻き込まれたりしないのかな……。

神...

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